「嵐電」鈴木卓爾
大林宜彦監督が先日亡くなられたが、個人映画は大林監督から始まった。大手映画会社の助監督からではなく、8ミリの個人映画から監督へとなった映画人たちは、大森一樹、森田芳光、矢崎仁司、石井聰互(石井岳龍)、長崎俊一、山本政志、矢口史靖、黒沢清、園子温、万田邦敏、塚本晋也・・・と枚挙に暇がない。「映画を撮りたい」という強い個人的な思いから出発した映画監督たちは、それぞれが独特の世界観を持っている。そんな8ミリ個人映画の雰囲気がそのまま残っている鈴木卓爾監督の新作である。鈴木卓爾監督は「ゲゲゲの女房」「楽隊のうさぎ」ぐらいしか観ていないが、役者としての出演作も結構多いことに驚く。塚本晋也監督も役者としてよく活躍しているが、鈴木卓爾監督も風貌が独特だから役者しても重宝されるのだろう。
さて「嵐電」だが、不思議な幻想的な映画である。京都市街を走る市電・京福電鉄嵐山線を通称「らんでん・嵐電」と呼ぶらしい。その市電を舞台に、3つの物語が描かれる。井浦新は、ノンフィクション作家として嵐電の不思議な話を取材するために、嵐電が走るそばに部屋を借りて住む。どうやら妻との嵐電での思い出があるらしい。太秦撮影所近くのお弁当屋で働く女の子・大西礼芳は、映画撮影に来ていた役者、金井浩人と出会い、京都弁を教えているうちに恋に落ちる。もう一つは東北からの修学旅行生の女の子と市電オタクで8ミリ撮影している男の子との恋である。演劇的に狐とタヌキに仮装した男女が現れて、「彼らを見たら大切な人と別れる」という都市伝説が語られ、幻想的な「銀河鉄道の夜」のような夜の市電が描かれる。
この映画、なんといってもオープニングの映像が素晴らしい。夜のすれ違う市電の長い長いワンカット。行き違い駅の看板、夜の踏切が降り、市電の光が揺らめき、近づく市電の音がする。そして市電が1台停留場に着き、向こうからもう1台の市電がやってきて行き違う。市電そのものの光と闇が生々しく幻想的に描かれる見事なワンカットである。そのあと、「最終電車が行ってしまったね」「これからは私たちの時間ね」という歌うような男女の声がかぶさる。このへんが個人映画っぽいが、この映画は最終電車が行ってしまった後の深夜の夢物語、それぞれの市電の思い出幻想物語であると宣言しているかのような始まりである。
しばしば多重露光撮影が使われ、幻のイメージが描かれる。現実と幻想が重なり合い、市電にまつわるそれぞれの場所が印象的に描かれる。井浦新の奥さんはてっきり亡くなったのかと思ったら、最後に自宅で普通に出てきて驚いた。大西礼芳の無表情な頑なで不器用な感じがいい。彼女の思いが幻想となって市電に運ばれていく。鈴木卓爾監督の思いが詰まった瑞々しい愛すべき個人映画がである。学生と一緒に作ったらしい。
2019年製作/114分/G/日本
配給:ミグラントバーズ、マジックアワー
監督:鈴木卓爾
脚本:浅利宏 鈴木卓爾
撮影:鈴木一博
美術:嵩村裕司
編集:鈴木歓
音楽:あがた森魚
キャスト:井浦新、大西礼芳、安部聡子、金井浩人、窪瀬環、石田健太、福本純里、水上竜士
☆☆☆3
(ラ)
さて「嵐電」だが、不思議な幻想的な映画である。京都市街を走る市電・京福電鉄嵐山線を通称「らんでん・嵐電」と呼ぶらしい。その市電を舞台に、3つの物語が描かれる。井浦新は、ノンフィクション作家として嵐電の不思議な話を取材するために、嵐電が走るそばに部屋を借りて住む。どうやら妻との嵐電での思い出があるらしい。太秦撮影所近くのお弁当屋で働く女の子・大西礼芳は、映画撮影に来ていた役者、金井浩人と出会い、京都弁を教えているうちに恋に落ちる。もう一つは東北からの修学旅行生の女の子と市電オタクで8ミリ撮影している男の子との恋である。演劇的に狐とタヌキに仮装した男女が現れて、「彼らを見たら大切な人と別れる」という都市伝説が語られ、幻想的な「銀河鉄道の夜」のような夜の市電が描かれる。
この映画、なんといってもオープニングの映像が素晴らしい。夜のすれ違う市電の長い長いワンカット。行き違い駅の看板、夜の踏切が降り、市電の光が揺らめき、近づく市電の音がする。そして市電が1台停留場に着き、向こうからもう1台の市電がやってきて行き違う。市電そのものの光と闇が生々しく幻想的に描かれる見事なワンカットである。そのあと、「最終電車が行ってしまったね」「これからは私たちの時間ね」という歌うような男女の声がかぶさる。このへんが個人映画っぽいが、この映画は最終電車が行ってしまった後の深夜の夢物語、それぞれの市電の思い出幻想物語であると宣言しているかのような始まりである。
しばしば多重露光撮影が使われ、幻のイメージが描かれる。現実と幻想が重なり合い、市電にまつわるそれぞれの場所が印象的に描かれる。井浦新の奥さんはてっきり亡くなったのかと思ったら、最後に自宅で普通に出てきて驚いた。大西礼芳の無表情な頑なで不器用な感じがいい。彼女の思いが幻想となって市電に運ばれていく。鈴木卓爾監督の思いが詰まった瑞々しい愛すべき個人映画がである。学生と一緒に作ったらしい。
2019年製作/114分/G/日本
配給:ミグラントバーズ、マジックアワー
監督:鈴木卓爾
脚本:浅利宏 鈴木卓爾
撮影:鈴木一博
美術:嵩村裕司
編集:鈴木歓
音楽:あがた森魚
キャスト:井浦新、大西礼芳、安部聡子、金井浩人、窪瀬環、石田健太、福本純里、水上竜士
☆☆☆3
(ラ)
スポンサーサイト
「半世界」阪本順治
地味な映画ではあるが、人は一人ではいられないし、誰かとともに補い合いながらなんとか生きていける。小さい頃から一緒に多くの時間を過ごした懐かしき友のことを誰もが思い浮かべるだろう。故郷みたいな懐かしき友。一緒に過ごした時間の長さだけが大切であり、それが全てであるような関係。気が合うとか合わないとかではなく、過ごした時間の積み重ねこそがかけがえのないもの。誰よりもあの時の自分を知る存在でもあり、大人になっても変わらない関係。私にとってのそんな多くの時間を過ごした幼なじみが一人いたのだが、早逝してしまった。さっさといなくなってしまった。懐かしくあの頃を振り返る前に。この映画の3人のように、生まれ育った町で再会して押しくらまんじゅうするような幸福な関係は、誰にでもあるものではない。そんな友などいなくても、どこか懐かしく、うらやましく人恋しくなる映画である。寒い海辺で一緒に毛布にくるまるようなぬくもりを感じる映画だ。
稲垣吾郎が自分のことでいっぱいいっぱいの冴えない中年男を演じている。親であることさえも戸惑っているような。虐められている息子とどうしていいかわからない距離。そんな時に友である長谷川博己のようなおじさんの存在が大切だったりする。子供にとって父親には反発しかなくても、父とは違う別の大人の言うことは、素直に受け入れられる。そして親のことを客観的に見られたりもする。二人では埋められないものを、もう一人が間を取り持つ。稲垣吾郎と長谷川博己と渋川清彦もそんなそれぞれの間を取り持つ三角形だ。補い合う三角形。池脇千鶴と稲垣吾郎の夫婦の関係もリアルで温かみがあっていい。そこに息子が介在し、また三角形が生まれる。池脇千鶴は本当にいい役者になった。ラストの留守番電話がせつない。
炭をつくりながら山から海を見下ろして暮らす半世界。世界の果てで別の世界を見てきた海の男の元自衛官の半世界。世界を十全に見渡すことなどできやしないし、自分の半世界と格闘するのが精いっぱいで、それぞれが生きている。それぞれがそれぞれの「火」を見つめて生きている。だからお互いにお互いの領域に踏み込まず、距離を持つ。それが大人でもあるのだが、親子も夫婦も友人たちも、そのお互いのそれぞれの領域に踏み込まないと、関係は深まらないし、味気ない。逆に言えば、干渉しあい、喧嘩し合い、踏み込む関係がないと、人生の歓びなどない。阪本順治は、そんな泥臭く哀しく、自分を取り巻く世界と格闘する人間たちを一貫して描いてきた。この映画もまた、そんな人間の孤独と寂しさと温かさが感じられる佳作である。
2019年製作/120分/G/日本
配給:キノフィルムズ
監督・脚本:阪本順治
撮影:儀間眞悟
照明:宗賢次郎
美術:原田満生
編集:普嶋信一
音楽:安川午朗
キャスト:稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦、竹内都子、堀部圭亮、小野武彦、石橋蓮司
☆☆☆☆4
(ハ)
稲垣吾郎が自分のことでいっぱいいっぱいの冴えない中年男を演じている。親であることさえも戸惑っているような。虐められている息子とどうしていいかわからない距離。そんな時に友である長谷川博己のようなおじさんの存在が大切だったりする。子供にとって父親には反発しかなくても、父とは違う別の大人の言うことは、素直に受け入れられる。そして親のことを客観的に見られたりもする。二人では埋められないものを、もう一人が間を取り持つ。稲垣吾郎と長谷川博己と渋川清彦もそんなそれぞれの間を取り持つ三角形だ。補い合う三角形。池脇千鶴と稲垣吾郎の夫婦の関係もリアルで温かみがあっていい。そこに息子が介在し、また三角形が生まれる。池脇千鶴は本当にいい役者になった。ラストの留守番電話がせつない。
炭をつくりながら山から海を見下ろして暮らす半世界。世界の果てで別の世界を見てきた海の男の元自衛官の半世界。世界を十全に見渡すことなどできやしないし、自分の半世界と格闘するのが精いっぱいで、それぞれが生きている。それぞれがそれぞれの「火」を見つめて生きている。だからお互いにお互いの領域に踏み込まず、距離を持つ。それが大人でもあるのだが、親子も夫婦も友人たちも、そのお互いのそれぞれの領域に踏み込まないと、関係は深まらないし、味気ない。逆に言えば、干渉しあい、喧嘩し合い、踏み込む関係がないと、人生の歓びなどない。阪本順治は、そんな泥臭く哀しく、自分を取り巻く世界と格闘する人間たちを一貫して描いてきた。この映画もまた、そんな人間の孤独と寂しさと温かさが感じられる佳作である。
2019年製作/120分/G/日本
配給:キノフィルムズ
監督・脚本:阪本順治
撮影:儀間眞悟
照明:宗賢次郎
美術:原田満生
編集:普嶋信一
音楽:安川午朗
キャスト:稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦、竹内都子、堀部圭亮、小野武彦、石橋蓮司
☆☆☆☆4
(ハ)
「真実 」特別編集版 是枝裕和
119分バージョンなので、最初の公開時のものより、11分長い。
私はこのバージョンのほうが好きだ。魔法=マジックというキーワードが強調されているし、わかりやすい。男たちのやり取りもこのぐらいあったほうが楽しめるし、ラストが締まるような気がする。
庭が主役という意味でオリヴィエ·アサイヤスの「夏時間の庭」とか、家族が集まる話としてアルノー·デプレシャンの「クリスマス·ストーリー」などを思い浮かべていたが、案外、是枝監督の「アメリカの夜」なのかもしれないとも思えてきた。
本当のなかに嘘があり、嘘のなかに本当がある。嘘と本当は、どちらも真実であり、人間の本音もまたどこにあるのか、本人にさえわからないのかもしれない。映画もまた嘘と本当の創作物だ。
2回目ともなると、細かいディテールが楽しめるし、幾層にも積み重なった物語の複雑さの味わいも格別だ。ドヌーブの数々の毒舌も笑えるし、ビノシュの応酬も見応えがある。全ての登場人物の心理も余裕をもって楽しめる。2回くらい見たほうが楽しめる映画かもしれない。
庭の魔法のような美しさ、ラストに聴こえる電車の音や鳥の声、庭でピエールを探すシャルロットの声、それをリュミールと間違えるファビエンヌ、マノンの美しく深みのある声は、亡霊としてのサラをも感じさせる。亀のピエールは助演賞ものだ。
演技論をめぐるやり取り、物真似と役者の存在感、演技の真実はどこにあるのか。劇中劇の面白さも、その撮影現場のハプニングも、みんな映画そのものの面白さだ。化かし合いのようなラスト、受け身でしかなかったリュミールの反撃も微笑ましい。リュックは本当に辞めるつもりはなかったのか。誰もが役を演じる役者で、セリフを考える脚本家なのかもしれない。
人間は本当に複雑で面白い。記憶は作られ、書き換えられる。そんな移ろいも季節の変化とともに見つめてきたのが、あの庭の木々たちというわけか。
☆☆☆☆☆5
(シ)
私はこのバージョンのほうが好きだ。魔法=マジックというキーワードが強調されているし、わかりやすい。男たちのやり取りもこのぐらいあったほうが楽しめるし、ラストが締まるような気がする。
庭が主役という意味でオリヴィエ·アサイヤスの「夏時間の庭」とか、家族が集まる話としてアルノー·デプレシャンの「クリスマス·ストーリー」などを思い浮かべていたが、案外、是枝監督の「アメリカの夜」なのかもしれないとも思えてきた。
本当のなかに嘘があり、嘘のなかに本当がある。嘘と本当は、どちらも真実であり、人間の本音もまたどこにあるのか、本人にさえわからないのかもしれない。映画もまた嘘と本当の創作物だ。
2回目ともなると、細かいディテールが楽しめるし、幾層にも積み重なった物語の複雑さの味わいも格別だ。ドヌーブの数々の毒舌も笑えるし、ビノシュの応酬も見応えがある。全ての登場人物の心理も余裕をもって楽しめる。2回くらい見たほうが楽しめる映画かもしれない。
庭の魔法のような美しさ、ラストに聴こえる電車の音や鳥の声、庭でピエールを探すシャルロットの声、それをリュミールと間違えるファビエンヌ、マノンの美しく深みのある声は、亡霊としてのサラをも感じさせる。亀のピエールは助演賞ものだ。
演技論をめぐるやり取り、物真似と役者の存在感、演技の真実はどこにあるのか。劇中劇の面白さも、その撮影現場のハプニングも、みんな映画そのものの面白さだ。化かし合いのようなラスト、受け身でしかなかったリュミールの反撃も微笑ましい。リュックは本当に辞めるつもりはなかったのか。誰もが役を演じる役者で、セリフを考える脚本家なのかもしれない。
人間は本当に複雑で面白い。記憶は作られ、書き換えられる。そんな移ろいも季節の変化とともに見つめてきたのが、あの庭の木々たちというわけか。
☆☆☆☆☆5
(シ)
「さよなら くちびる」塩田明彦
出張中のホテルでたまたま見た映画。塩田明彦監督作品というだけで、なんの予備知識もなく見たのだけれど、これがとても良かった。塩田明彦は、初期の頃の「月光の囁き」とか「害虫」とかの傑作があったけれど、それ以来の青春期のあやうくせつない愛すべき映画だった。
トライアングルは、いつだってドラマの王道だ。たいてい男二人と女性一人というパターンが多い。私の好きな「冒険者たち」もそうだし、トリュフォーの「突然炎のごとく」も、村上春樹の「ノルウェイの森」もそうだ。不在の存在も含めて、トライアングルの微妙な三角関係は、友情と恋愛の狭間で、嫉妬と愛が絡まり合い、複雑な関係の感情が描かれる。
この映画は女性二人と男一人のトライアングル。そして、ミュージックビデオとロードムービーが一緒になったような映画である。楽曲も秦基博とあいみょんが提供していて、なかなか素敵な音楽なのだ。三人のバンド結成からラストライブツアーの物語。セリフも最小限で、音楽とともに流れる車窓や風景も効果的。
音楽の才能はあるが、秘密を抱えている屈折したハル(門脇麦)と寂しがりやで何もないがストレートなレオ(小松菜奈)。レオの「バカで何が悪い」というセリフが効いている。
男と女、女と女、愛とも友情とも言えない微妙なバランスの関係。そんな三人の旅の物語が愛おしい。
公開日:2019年
製作国: 日本
監督・脚本・原案:塩田明彦
製作: 瀬戸麻理子(企画・プロデュース); 根岸洋之; 高橋尚子
撮影: 四宮秀俊
キャスト:小松菜奈、門脇麦、成田凌、篠山輝信、松本まりか、新谷ゆづみ、日髙麻鈴、青柳尊哉、松浦祐也、篠原ゆき子、マキタスポーツ
☆☆☆☆4
(サ)
トライアングルは、いつだってドラマの王道だ。たいてい男二人と女性一人というパターンが多い。私の好きな「冒険者たち」もそうだし、トリュフォーの「突然炎のごとく」も、村上春樹の「ノルウェイの森」もそうだ。不在の存在も含めて、トライアングルの微妙な三角関係は、友情と恋愛の狭間で、嫉妬と愛が絡まり合い、複雑な関係の感情が描かれる。
この映画は女性二人と男一人のトライアングル。そして、ミュージックビデオとロードムービーが一緒になったような映画である。楽曲も秦基博とあいみょんが提供していて、なかなか素敵な音楽なのだ。三人のバンド結成からラストライブツアーの物語。セリフも最小限で、音楽とともに流れる車窓や風景も効果的。
音楽の才能はあるが、秘密を抱えている屈折したハル(門脇麦)と寂しがりやで何もないがストレートなレオ(小松菜奈)。レオの「バカで何が悪い」というセリフが効いている。
男と女、女と女、愛とも友情とも言えない微妙なバランスの関係。そんな三人の旅の物語が愛おしい。
公開日:2019年
製作国: 日本
監督・脚本・原案:塩田明彦
製作: 瀬戸麻理子(企画・プロデュース); 根岸洋之; 高橋尚子
撮影: 四宮秀俊
キャスト:小松菜奈、門脇麦、成田凌、篠山輝信、松本まりか、新谷ゆづみ、日髙麻鈴、青柳尊哉、松浦祐也、篠原ゆき子、マキタスポーツ
☆☆☆☆4
(サ)
「NO SMOKING」佐渡岳利
男が憧れる男がいる。こんな男になりたいという憧れだ。いつの頃からか、私の憧れの人は、まずは役者の原田芳雄だった。「祭りの準備」「竜馬暗殺」の原田芳雄がカッコよかった。それに彼の歌声も好きだった。役者仲間の兄貴分的な存在。残念ながら、仕事で会うことも叶わず、亡くなってしまった。もう一人は、イラストレーター、漫画家、エッセイスト・作家でもあるの安西水丸だ。村上春樹の本のイラストをはじめ、あの独特の絵は大好きだった。漫画も結構読んだし、小説も読んだ。風貌や生き方がカッコよかった。水丸氏も亡くなってしまった。
2人が死んでしまったけれど、まだ生きている憧れの人、3人目が細野晴臣だ。彼の音楽・風貌・声・考え方・キャラクター、すべてが好きだ。あの飄々としたお気楽な楽しそうな感じ。トロピカルダンディ。人生すべてが遊びのように楽しんでいる。つまらないことに囚われない自由さ。ゆとりがあって、お茶目で、風来坊で、放浪的で、地球規模で越境する感性の伸びやかさ。
高校生ぐらいのときに聴いた「トロピカル・ダンディ」「泰安洋行」あたりが同時代だった。それからさかのぼって、ティンパン・アレー、はっぴいえんどと、夢中になっていろいろ聴いた。なかでも細野さんの音楽が気持ちよくて優しくて、大好きだった。
「ろかばいまいべいびい」「恋は桃色」「風をあつめて」「三時の子守唄」「絹街道」「北京ダッグ」。映画音楽の劇伴の傑作も多い。アニメ「銀河鉄道の夜」の音楽が珠玉の名曲ばかりだ。歌謡曲の楽曲の提供も多い。「天国のキッス」「風の谷のナウシカ」。YMO時代が有名だが、世界の民族音楽を集めたシリーズもあり、日本だけにとどまらない普遍性が今も海外で受けている理由だろう。陽気で軽快なブギウギ。音楽がとにかく好きなのだ。
だからこのドキュメンタリーは、細野さんの音楽が次々と聴けて、細野さんの姿を楽しみながら、彼の人生を少し知り、相変わらずのお茶目なダンスや歩き方にホッコリする。男も女も細野さんに夢中だ。それだけの魅力がある人だと思う。
また彼の音楽を生で聴きたい。札幌でコンサートないかなぁ~。
ドキュメンタリーのレビューになっていないが、細野晴臣が出てればそれでいいのだ。なにも文句のない☆5つである。
2019年製作/96分/G/日本
配給:日活
監督:佐渡岳利
プロデューサー:飯田雅裕
音楽:細野晴臣
ナレーション:星野源
キャスト:細野晴臣、ヴァン・ダイク・パークス、小山田圭吾、坂本龍一、高橋幸宏、マック・デマルコ、水原希子、水原佑果、星野源、
宮沢りえ
☆☆☆☆☆5
(ノ)
2人が死んでしまったけれど、まだ生きている憧れの人、3人目が細野晴臣だ。彼の音楽・風貌・声・考え方・キャラクター、すべてが好きだ。あの飄々としたお気楽な楽しそうな感じ。トロピカルダンディ。人生すべてが遊びのように楽しんでいる。つまらないことに囚われない自由さ。ゆとりがあって、お茶目で、風来坊で、放浪的で、地球規模で越境する感性の伸びやかさ。
高校生ぐらいのときに聴いた「トロピカル・ダンディ」「泰安洋行」あたりが同時代だった。それからさかのぼって、ティンパン・アレー、はっぴいえんどと、夢中になっていろいろ聴いた。なかでも細野さんの音楽が気持ちよくて優しくて、大好きだった。
「ろかばいまいべいびい」「恋は桃色」「風をあつめて」「三時の子守唄」「絹街道」「北京ダッグ」。映画音楽の劇伴の傑作も多い。アニメ「銀河鉄道の夜」の音楽が珠玉の名曲ばかりだ。歌謡曲の楽曲の提供も多い。「天国のキッス」「風の谷のナウシカ」。YMO時代が有名だが、世界の民族音楽を集めたシリーズもあり、日本だけにとどまらない普遍性が今も海外で受けている理由だろう。陽気で軽快なブギウギ。音楽がとにかく好きなのだ。
だからこのドキュメンタリーは、細野さんの音楽が次々と聴けて、細野さんの姿を楽しみながら、彼の人生を少し知り、相変わらずのお茶目なダンスや歩き方にホッコリする。男も女も細野さんに夢中だ。それだけの魅力がある人だと思う。
また彼の音楽を生で聴きたい。札幌でコンサートないかなぁ~。
ドキュメンタリーのレビューになっていないが、細野晴臣が出てればそれでいいのだ。なにも文句のない☆5つである。
2019年製作/96分/G/日本
配給:日活
監督:佐渡岳利
プロデューサー:飯田雅裕
音楽:細野晴臣
ナレーション:星野源
キャスト:細野晴臣、ヴァン・ダイク・パークス、小山田圭吾、坂本龍一、高橋幸宏、マック・デマルコ、水原希子、水原佑果、星野源、
宮沢りえ
☆☆☆☆☆5
(ノ)