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「デッド・ドント・ダイ」ジム・ジャームッシュ

ジム・ジャームッシュのゾンビ映画である。いつもとぼけたビル・マーレイ、「パターソン」に引き続き出演のアダム・ドライバー、それにクロエ・セビニーの3人の警察官。そして日本刀を振り回して次々とゾンビの首をはねていく葬儀屋ティルダ・スウィントンの怪優ぶりがおかしい。アダム・ドライバーも野球選手のように鉈を振り回していたっけ。

スターギル・シンプソンの「The Dead Don’t Die=死者は死なない」というカントリーソングが流れ、森に住む世捨て人のようなトム・ウェイツをニワトリ泥棒の嫌疑で問い詰めるビル・マーレイとアダム・ドライバーの2人の警官のやり取りから始まる。再び「デッド・ドント・ダイ」のカントリーソングがパトカー車内でラジオから流れ、「よく聴く曲だな」とビル・マーレイ、「テーマ曲だからですよ」とアダム・ドライバーが答える。相変わらずのとぼけた感じのジャームッシュ節である。そんなのどかな感じで始まるも、それなりにグロテスクなゾンビ映画である。人肉をむさぼった後で「コーヒー」とか言いながらコーヒーを飲むイギー・ポップとサラ・ドライバーのゾンビ、ダイナーでのグロテスクな遺体を警官の3人が繰り返し確認する場面、ティルダ・ウィンストンの奇妙な歩き方と見事な日本刀使いなど、クスっと笑えるところが随所にある。

北極圏での企業のエネルギー開発実験で地球の地軸がずれ、日照時間が変化し、時計が狂い、環境がおかしくなって動物たちが森に逃げ出し、ゾンビたちが墓の下から復活するというストーリー。ゾンビたちが「WiFi」とか「Bluetooth」とか「いいね」とかつぶやいたりするのもふざけている。アダム・ドライバーが何度も「これはマズイ結末になる」とつぶやき、最後にビル・マーレイが「なんでそんなことわかるんだよ!」とキレると、「ジムから台本もらったから」などと言う。コントのような3人組の警官も住民たちもみんないなくなり、双眼鏡で騒ぎを見つめる世捨て人のトム・ウェイツと謎の葬儀屋ティルダ・スウィントンだけが生き残る。そういえば鑑別所の3人の子供たちも森へと逃げて行ったっけ。

相変わらず楽しんで作っているトボけた感じがいい。今回はちょっと救いがない感じだったけれど。

ただその笑いの裏側のシニカルさはより深刻になっているのかもしれません。「ゴーストドッグ」の武士道の殺し屋も、「ブロークン・フラワーズ」の人間らしい恋愛オヤジも、「リミッツ・オブ・コントロール」の虚無と闘い続ける殺し屋も、「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」の過去のロマンに生きる吸血鬼も、愛すべきヒーローやヒロインは登場しない。いや、登場しても救いは持たれされない。ゾンビたちが愚かに生き続けるのみである。


2019年製作/104分/R15+/スウェーデン・アメリカ合作
原題:The Dead Don't Die
配給:ロングライド
監督:ジム・ジャームッシュ
製作:ジョシュア・アストラカン カーター・ローガン
製作総指揮:ノリオ・ハタノ フレデリック・W・グリーン
脚本:ジム・ジャームッシュ
撮影:フレデリック・エルムス
美術:アレックス・ディジェルランド
衣装:キャサリン・ジョージ
編集:アフォンソ・ゴンサウベス
音楽:スクワール
キャスト:ビル・マーレイ、アダム・ドライバー、ティルダ・スウィントン、クロエ・セビニー、スティーブ・ブシェーミ、ダニー・グローバー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ロージー・ペレス、イギー・ポップ、サラ・ドライバー、RZA、キャロル・ケイン、オースティン・バトラー、ルカ・サバト、セレーナ・ゴメス、トム・ウェイツ
☆☆☆☆4
(テ)
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

tag : ホラー コメディ ☆☆☆☆4

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ヒデヨシ

Author:ヒデヨシ
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映画にまつわる雑文です。
2006年からの映画レビュー。
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            2、「ホーリー・モーターズ」
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            <日本映画>
            1、「共喰い」
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            4、「リアル 完全なる首長竜の日」
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            2012年映画ベスト10
          <洋画>
          2、「少年と自転車」
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          5、「きっと ここが帰る場所」
          6、「ドライヴ」
          7、「風にそよぐ草」
          8、「恋のロンドン狂騒曲」
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        番外
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      2011年映画ベスト10
      2,「愛の勝利を」
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      9,「エリックを探して」
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    2010年映画ベスト10
    3、フローズン・リバー
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    3、川の底からこんにちは
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2009年映画ベスト10
    3、リミッツ・オブ・コントロール
    4、あの日、欲望の大地で
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    7、チェンジリング
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    9、レスラー
    10、夏時間の庭

<日本映画>
    1、ディア・ドクター
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    5、ノン子36歳(家事手伝い)
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