「ヴァイブレータ」廣木隆一

寺島しのぶと大森南朋のほぼ全編二人だけ。トラックで移動し続けるロードムービー。頭の中で声が聞こえる、拒食症、食べ吐きなどの病を抱える女が旅の過程で少し変わっていくだけの映画だがとてもいい。同じく荒井晴彦脚本、寺島しのぶ主演でこの映画の次に撮った「やわらかい生活」も良かったが、この作品の方が凝縮されていていい。
トラックという密室空間の中で繰り広げる会話やセックスやトラック無線が交わされるだけ。行き交う声やセリフがただ漂っている感じ。誰にも受け止められない・・・。それでも喋り続けることで、何かが変わっていく。廣木隆一はそこに漂っている空気を描くのがうまい監督だ。特に男と女の間に漂っている空気を。この映画では、字幕などを使って独白的な表現も効果的に使われているが、寺島しのぶの存在感が特に素晴らしい。
製作年: 2003年
製作国: 日本
監督: 廣木隆一
脚本: 荒井晴彦
原作: 赤坂真理(講談社文庫刊)
撮影: 鈴木一博
出演:寺島しのぶ、大森南朋、田口トモロヲ、戸田昌宏、高柳絵理子、牧瀬里穂、坂上みき、村上淳、野村祐人
☆☆☆☆4
(ハ)
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