「ひそひそ星」園子温
最近、立て続けに作品を発表しているやや乱作気味の園子温が、「ほんとうに撮りたかったむきだしの作家性をぶつけた」とのコピーがあるのでさっそく観に行ったのだが、残念ながら観るべき価値が感じられなかった。「構想25年」とあるが、このレトロな日本家屋を宇宙船に見立てたチープなSF映画は、まさに自主映画のようだ。奥さんである神楽坂恵が主演。彼女がアンドロイドの宇宙の配達人となって、絶滅危惧種になった人間たちに淡々と「記憶の宅配便」を届けるという内容だ。
3.11”の傷跡濃い福島県の富岡町・南相馬・浪江町でのロケ。あの廃墟となった街並みがなければ成立しえなかった映画とも言える。その未だに誰もいない街並みのリアルな迫力には圧倒されるが、ある意味その廃墟を利用している映画だ。園子温は、3.11直後にいち早く『ヒミズ』で、被災地ロケを敢行していた。さらに『希望の国』では正面から原発災害、放射能汚染の理不尽さを映画にした。そういう現実の問題に対するフットワークの軽さこそが、園子温の身上なのだろうが、このSF映画の道具立てに被災地を取り上げたことに、少し違和感を感じた。
やや見るべきものがあるとすれば、古びた日本家屋の部屋とチープな宇宙船の操縦席のセット、そして人間たちがひそひそ声でしか喋ることが出来ない星における影絵のセット。昭和のレトロな家族の描写が美しい影絵で映し出される。その廊下のような部分を歩く神楽坂恵。
アパートのような密室の宇宙船での日常生活、そして廃墟の街を空き缶を踏みながらカラカラと音を鳴らして歩き、自転車で無人の街を移動する配達人。そしてそんな廃墟に突然いる人間たちが、ほとんど台詞もなく、配達人からモノを受け取るだけの単調な映画。未来において、手渡されるモノにこそ思い出や記憶が宿るというわけだが、観念的な自己満足的映画にしか思えなかった。
製作年 2015年
製作国 日本
配給 日活
上映時間 100分
監督:園子温
脚本:園子温
プロデューサー:鈴木剛、園いづみ
撮影:山本英夫
照明:小野晃
美術:清水剛
編集:伊藤潤一
キャスト:神楽坂恵、遠藤賢司、池田優斗、森康子
☆☆2
(ヒ)
3.11”の傷跡濃い福島県の富岡町・南相馬・浪江町でのロケ。あの廃墟となった街並みがなければ成立しえなかった映画とも言える。その未だに誰もいない街並みのリアルな迫力には圧倒されるが、ある意味その廃墟を利用している映画だ。園子温は、3.11直後にいち早く『ヒミズ』で、被災地ロケを敢行していた。さらに『希望の国』では正面から原発災害、放射能汚染の理不尽さを映画にした。そういう現実の問題に対するフットワークの軽さこそが、園子温の身上なのだろうが、このSF映画の道具立てに被災地を取り上げたことに、少し違和感を感じた。
やや見るべきものがあるとすれば、古びた日本家屋の部屋とチープな宇宙船の操縦席のセット、そして人間たちがひそひそ声でしか喋ることが出来ない星における影絵のセット。昭和のレトロな家族の描写が美しい影絵で映し出される。その廊下のような部分を歩く神楽坂恵。
アパートのような密室の宇宙船での日常生活、そして廃墟の街を空き缶を踏みながらカラカラと音を鳴らして歩き、自転車で無人の街を移動する配達人。そしてそんな廃墟に突然いる人間たちが、ほとんど台詞もなく、配達人からモノを受け取るだけの単調な映画。未来において、手渡されるモノにこそ思い出や記憶が宿るというわけだが、観念的な自己満足的映画にしか思えなかった。
製作年 2015年
製作国 日本
配給 日活
上映時間 100分
監督:園子温
脚本:園子温
プロデューサー:鈴木剛、園いづみ
撮影:山本英夫
照明:小野晃
美術:清水剛
編集:伊藤潤一
キャスト:神楽坂恵、遠藤賢司、池田優斗、森康子
☆☆2
(ヒ)
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