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「ヒアアフター」クリント・イーストウッド

生きているこの世界が死者とともにあり、死者を物語の軸にして展開する表現は多い。不在なもの=死者に人々は囚われ、その喪失感をなかなか埋められないからである。日本人は特に死者を身近に感じてきた。お盆には死者があの世から還ってくると信じられているし、自然や様々なものに魂が宿るアニミズム的世界観は色濃く文化の中に根付いている。霊としてこの世をさ迷う幽霊話や幻想譚、オカルト的怪談話など古くから豊かな世界を生み出している。そんな不在の死者たちをともにあるものとして描いてきた映画作家として、小津安二郎、大林宜彦、是枝裕和、黒沢清、岩井俊二など数え上げたらキリがない。

この映画は、ヒアアフター(来世)にまつわる3つの物語であり、霊界と交信できる能力を持ったマッド・デイモンの物語と、突然の津波で臨死体験をして、霊的世界を感じたフランス女性ジャーナリストのセシル・ドゥ・フランスの物語、そして、双子の兄を事故で失った少年が死んだ兄とコンタクトをするために霊能力者を探し求める物語。この3つの物語が並行して描かれ、最後にイギリスのブックフェアで3人が出会い、物語が交錯する。

印象的だったのは、臨死体験をした女性ジャーナリストがミッテランの政治の本ではなく、霊的世界の本を出そうとしたときに止められ、「そういう本はアメリカやイギリスで出せ」と言われたところ。カトリックが強いフランスでは、死後の来世の話は怪しげなオカルトでしかないのか。臨死体験者の話を研究している科学者も登場し、クリント・イーストウッドは死にまつわる謎と神秘について真面目に向き合おうとしている。しかし、そのあたりがこの映画を物足りないものにしている。登場人物が感じる霊的世界のイメージが同じようなものであり、そこに何か共通の霊的世界があるかのような描き方なのだ。その霊的世界が存在すると信じることを物語は目指しており、兄を失った少年の孤独も霊能者の苦悩も女性ジャーナリストの葛藤もどれも浅く、中途半端な感じがしてしまった。兄を失った少年の喪失感の哀しみの深さが感じられないのだ。

2010年製作/129分/G/アメリカ
原題:Hereafter
配給:ワーナー・ブラザース映画
スタッフ・キャスト
監督:クリント・イーストウッド
製作:クリント・イーストウッド キャスリーン・ケネディ ロバート・ロレンツ
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ フランク・マーシャル ピーター・モーガン ティム・ムーア
脚本:ピーター・モーガン
撮影:トム・スターン
美術:ジェームズ・J・ムラカミ
音楽:クリント・イーストウッド
キャスト:マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス、ジェイ・モーア、ブライス・ダラス・ハワード、ジョージ・マクラレン、フランキー・マクラレン、ティエリー・ヌービック、マルト・ケラー
☆☆☆3
(ヒ)
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テーマ : TVで見た映画
ジャンル : 映画

tag : 幻想 ミステリー 人生 ☆☆☆3

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ヒデヨシ

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映画にまつわる雑文です。
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          5、「きっと ここが帰る場所」
          6、「ドライヴ」
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<日本映画>
    1、ディア・ドクター
    2、空気人形
    3、ウルトラミラクルラブストーリー
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